第六章 第二五話 対話編
CASE 創造 の裏に 想像
マナミ 梵天が司る、創造って、どういうものなの?
マサシ 創造とは、徳の力をして、欲界を創ることさ。
マナミ 梵天が、欲界を創造すると、どうなるのかな?
マサシ 欲の界に、欲を持つ魂が、生まれて来るのさ。
マナミ 梵天が創る、欲の界は、三角形ではないの?
マサシ 創造主は、空の器という、型を与えるだけさ。
マナミ 魔天が司る、想像って、どういうものなの?
マサシ 想像とは、欲の力をして、欲界を作ることさ。
マナミ 魔天が、欲界を想像すると、どうなるのかな?
マサシ 欲の階に、欲が多い順に、埋まれて行くのさ。
マナミ 魔天が作る、欲の界は、三角形に変わるの?
マサシ 大魔王が、欲の階という、形を与えるわけさ。
マナミ つまり、創造だけなら、序列は無いけれど、
更に、想像までするとき、階級が生まれるの?
マサシ そうさ、善が多いか寡いか、想像するのさ。
実際には、そんなものは、存在しないのにね。
マナミ 必ず、善が生まれると、悪が埋まれている。
だから、善が多いなんて、想像に過ぎないの?
マサシ うん、それを、魔天が、信じ込ませているよ。
マナミ ……………………
CASE 創造 の先に 想像
サトミ 梵天が現す、創造って、どういうものかな?
メグミ 創造とは、空の器である、外表を創ることよ。
サトミ どのように、色界の梵天は、欲界を創るの?
メグミ 全て空であり、総て良である、空間を造るの。
サトミ 欲界の魂が、梵天に従うと、どうなるのかな?
メグミ 全て愛し、総て喜ぶ様な、神の使徒になるよ。
サトミ 魔天が表す、想像って、どういうものかな?
メグミ 想像とは、中の身である、階層を作ることよ。
サトミ どのように、欲界の魔天は、欲界を作るの?
メグミ 善が上であり、悪が下である、階級を作るの。
サトミ 欲界の魂が、魔天に順うと、どうなるのかな?
メグミ 上に媚び、下を蔑む様な、魔の手下になるよ。
サトミ 創造は、凡らゆる魂が、良い役に就くけど、
想像では、選ばれた魂が、善い役に着くのね?
メグミ 神に従うと、総べてが尊い、円形に見るけど、
悪魔に順うと、上だけが貴い、三角に見るの。
サトミ どのように、自分の世界が、見えているのか。
それによって、帰依の対象が、分かるわけね。
メグミ うふっ、自分が想像した、世界を創造するの。
サトミ ……………………!!
CASE 創造 という 想像
サトシ 梵天が司る、創造って、どういうものかな?
マサシ 創造では、善を創るとき、悪も造られるのさ。
サトシ 欲天が司る、想像って、どういうものかな?
マサシ 想像では、善を作っても、悪を造らないのさ。
サトシ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
マサシ 欲を持ち、善が生じると、悪を招じている。
これが、欲界の仕組であり、梵天の創造だよ。
サトシ 必ず、善が生まれるとき、悪が埋まれるのか。
マサシ 一方で、悪を造らないでも、善が作れると、
悪の無い、独善を想うことが、欲天の想像さ。
サトシ 天人は、独り善がりである、想像を重ねて、
善だけの、天国が存在すると、想っているの?
マサシ 少なくとも、欲界の天人は、天国に暮らして、
他の星も、天国に変えようと、助けているよ。
サトシ う~ん、善を増やしただけ、悪も殖えるから、
次から次、悪が生まれてきて、切りが無いよ。
マサシ そうさ、地獄を作っているのは、天人なんだ。
サトシ じゃ、欲天の頂点が魔天って、こういうこと?
マサシ それを、絶対に見とめない、想像を繰り返す。
サトシ ……………………
CASE 想像 という 創造
サトシ 善いなあ、僕も、王様に生まれたかったな。
アツシ ふむ、王様を味わえば、必ず、奴隷も味わう。
それを、承知の上で、君は、望んでいるのか?
サトシ いやいや、そんなわけ、絶対に無いでしょ。
噂に拠れば、彼は前世も、王様だったみたい。
アツシ なるほど、現在の姿を見て、そう想うわけか。
独り寂しく、逝き倒れた、前世は見えないか?
サトシ そんなの、現在の彼からは、想像できないよ。
たとえ、そうだとしても、もはや、別人だね。
アツシ それなら、別の角度で、想像して貰おうか。
最高に至り、極め尽した、ゲームは楽しいか?
サトシ その世界観で、最強に為る、ってことだよね。
そのゲーム、絶対に楽しいに、決まっている。
アツシ 全て思い通り、総てが解り、偶然など無い。
遣り尽した、そんなゲームを、楽しめるのか?
サトシ いやいや、それこそ、僕が望んでいる世界だ。
アツシ 楽しいのは、初めだけ、飽きると想わないか?
サトシ いやいや、そんなことは、絶対に有る訳ない。
アツシ そうか、そこまで言うなら、創造してくれ。
サトシ ……………………
CASE 想像なき創造 と 創造なき想像
サトミ 創造と想像、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 神を信じる、創造って、どういうものかな?
メグミ 創造とは、全てが良いと、徳が現れることよ。
サトミ 魔を信じる、想像って、どういうものかな?
メグミ 想像とは、何かが善いと、欲が表れることよ。
サトミ 創造を望み、想像に臨まないと、どうなるの?
メグミ 想像なき創造なんて、詰らない創造するだけ。
サトミ じゃ、徳は現れるけど、欲は表れないのかな?
メグミ そうよ、器は表れるけど、中は空のままだよ。
サトミ 想像を望み、創造に臨まないと、どうなるの?
メグミ 創造なき想像なんて、良くない想像するだけ。
サトミ じゃ、欲は表れるけど、徳は現れないのかな?
メグミ そうよ、色は現れるけど、塗り潰すだけだよ。
サトミ 創造だけでは、光ばかりで、色が無くなるし、
想像ばかりでは、色ばかりで、光が無くなる?
メグミ うん、創造と想像、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、創造を透して、想像を徹していくの?
メグミ うん、創造を究めて、想像を極めていくのよ。
サトミ ……………………!!
CASE 第 六 天 魔
サトシ あのね、第六天魔って、どういうものかな?
マサシ それはね、欲界を治める、欲天の主のことさ。
サトシ う~ん、善を重ねると、天に昇っていって、
誰よりも、善を究めると、主に成るんだよね?
マサシ そうさ、第六天魔とは、最善に至った者だよ。
サトシ それなら、どう考えても、善人のはずだよね。
それを、悪魔と見なすのが、意味が解らない。
マサシ 欲界から、解脱するのを、邪魔するからさ。
飽く迄、善意を以って、欲天に誘おうとする。
サトシ じゃ、色界の菩薩は、衆生を解脱に導くけど、
反対に、欲界の天魔は、衆生を天国に誘うの?
マサシ 善だけど、その善ゆえに、解脱の邪魔をする。
サトシ 僕らは、解脱するより、天国に行きたいんだ。
寧ろ、邪魔しているのは、菩薩の方なんだよ。
マサシ でもね、楽を味わえば、同じだけ苦を味わう。
欲を持ち、天国を選ぶと、地獄も択ばされる。
サトシ それは、幸福には成れない、誤った考え方だ。
マサシ いや、その先に不幸が続くと、悟るべきだよ。
サトシ ううん、その誤った道から、君らを救いたい。
マサシ ……………………