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物語編

第六章 第二九話 対話編

CASE 如去 の裏に 如来

 

マナミ タターガタ、如去って、どういうものなの?
マサシ 如去とは、真理を覚って、涅槃に去ることさ。
マナミ つまり、一元を悟ると、二元を去って行くの?
マサシ そうだよ、一元で居ると、二元に止まれない。
マナミ タターガタ、如来って、どういうものなの?
マサシ 如来とは、真理を悟って、輪廻に来ることさ。
マナミ つまり、一元を覚ると、二元に戻って来るの?
マサシ そうだよ、一元で居ると、二元に留まれるよ。
マナミ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
マサシ 先ず、味著と過患を超え、涅槃に去るけど、
    続いて、涅槃と輪廻を越え、輪廻に来るのさ。
マナミ すなわち、真理を悟ると、一元に至るけど、
    輪廻が残り、涅槃と輪廻の、二元が残るわけ?
マサシ そうさ、自分だけ、涅槃に入ったとしても、
    他が、輪廻に残って、閉じた一元になるのさ。
マナミ だから、輪廻に戻って、他を涅槃に導いて、
    最終的に、輪廻が消えた、真の一元に還るの?
マサシ ううん、輪廻が在ろうとも、真の一元に居る。
    そもそも、完璧であると、全てを認めるのさ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 如去 の先に 如来

 

サトミ 輪廻を去る、如去って、どういうものかな?
メグミ 如去とは、解脱を求める、小乗の型のことよ。
サトミ 如去の姿に、小乗の段階が、表れているの?
メグミ 衆生から、羅漢に達する、道が現われるのよ。
サトミ 輪廻に来る、如来って、どういうものかな?
メグミ 如来とは、済度を求める、大乗の型のことよ。
サトミ 如来の姿に、大乗の段階が、表れているの?
メグミ 菩薩から、世尊に達する、道が現われるのよ。
サトミ 如去の段は、輪廻を越える、涅槃が表れて、
    如来の階では、輪廻を認める、涅槃が現れる?
メグミ 如去の段は、二元を離れて、一元を望んで、
    如来の階では、二元を認める、一元に臨むの。
サトミ 自分だけ、涅槃に入って、一元に至っても、
    他人が、輪廻に残っている、二元が残るのね。
メグミ うん、だから、羅漢は、菩薩に生まれ変わり、
    二元に臨み、一元を望む、済度を始めるのよ。
サトミ 菩薩乗により、輪廻の中に、涅槃を見つける。
    ここまで、悟らないと、如来と言えないのね。
メグミ うふっ、如去に至り、初めて解るんだけどね。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 如去 と 真如 と 如来

 

マナミ タターガタ、真如って、どういうものなの?
マサシ 真如とは、在るが如しの、真理のことなのさ。
マナミ タター・ガタ、如去は、どういうものなの?
マサシ 如去とは、真如を悟って、涅槃に去るものさ。
マナミ 如去は、去って行く姿、解脱を表しているの?
マサシ うん、小乗を修めている、羅漢を示している。
マナミ タタ・アーガタ、如来って、どういうもの?
マサシ 如来とは、真如を悟って、輪廻に来るものさ。
マナミ 如来は、救いに来る姿、菩薩を表しているの?
マサシ うん、大乗を修めている、菩薩を示している。
マナミ 言葉の区切り方で、二つの意味が表われるの?
マサシ そうさ、区切らないと、真理そのものだけど、
    区切ると、二つの真理の、役割に別れるのさ。
マナミ 在りのまま、分けなくても、斯くのごとし、
    思いのままに、別けてみても、斯くあるべき。
マサシ そうさ、在りのままを、思いのままにしても、
    それを含めて、すべてが、在りのままなのさ。
マナミ 真理って、面白いね、本当に良く出来ている。
マサシ そうさ、真理を悟ると、何でも美しく見える。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 如来なき如去 と 如去なき如来

 

サトミ 如去と如来、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 涅槃に去る、如去って、どういうものかな?
メグミ 如去とは、真如を覚って、一元に去ることよ。
サトミ 輪廻に来る、如来って、どういうものかな?
メグミ 如来とは、真如を悟って、二元に来ることよ。
サトミ 如去を望み、如来に臨まないと、どうなるの?
メグミ 如来なき如去なんて、解脱に拘るだけなのよ。
サトミ じゃ、解脱に挑むだけ、真如を望んでないの?
メグミ そうよ、如去に倣っても、真理に臨まないの。
サトミ 如来を望み、如去に臨まないと、どうなるの?
メグミ 如去なき如来なんて、来迎に縋るだけなのよ。
サトミ じゃ、来迎を待つだけ、真如を望んでないの?
メグミ そうよ、如来を迎えても、真理に臨まないの。
サトミ 如去だけでは、拘り過ぎて、覚り切れないし、
    如来ばかりでは、縋り過ぎて、悟り切れない?
メグミ うん、如去と如来、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、如去を透して、如来を徹していくの?
メグミ うん、如去を究めて、如来を極めていくのよ。
サトミ ……………………!!

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