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物語編

第六章 第三九話 問答編

    

 

マサシ 乳海撹拌(ニュウカイカクハン)とは?

 

アキラ 乳海撹拌は、ヒンズー教の神話のこと。
    梵語では、サムドラ・マンタン、である。
    その昔、不老不死の霊薬アムリタを巡って、
    天人と修羅が、壮絶な戦いを繰り広げていた。

 

    戦いに疲れた両者は、ヴィシュヌ神に、
    助けを求めたが、ヴィシュヌ神は言った。
    「互いに協力して、大海を掻き回せば良い。
    それが出来れば、アムリタが得られるだろう」

 

    それを聞いた、天人と修羅は協力して、
    天空にそびえる、マンダラ山を軸棒とし、
    亀の王、クールマの背中で、軸棒を支えて、
    マンダラ山に、ヴァースキー龍を巻き付けた。

 

    龍の頭の側を、修羅が持って引っ張り、
    龍の尻尾の側を、天人が持って引っ張り、
    ぐるぐる引き回して、大海を撹拌し始めた。
    すると、龍と頭と尾を、強く引っ張ったため、

 

    龍は苦しみ、口から猛毒を吐き出した。
    その毒は、世界を焼き尽くす程だったが、
    シヴァ神が、毒を飲み干し世界は救われた。
    シヴァ神の身体は、その毒により青くなった。

 

    やがて、大海は乳海に変わって行った。
    女神、神酒、太陽、月などが次々に現れ、
    ついに、不老不死の霊薬アムリタが現れた。
    すると、天人と修羅の間で争奪戦が始まった。

 

    最終的に、天人はアムリタを飲めたが、
    修羅が飲めたものは、煮え湯だけだった。
    それ以降、修羅は、天の神々を恨み続けて、
    天に対して、戦いを挑み続けることになった。

 


 

ワカサ 読むことを、強調するのは、何故ですか?

 

マコト 体を調えて、武の道を究めていくよう、
    分別を整えて、神の道を極めていきます。
    一通り辿るだけ、気ままに修めるだけでは、
    決して、達人に成れないのは、武と同じです。

 

    例えば、武道の達人に、成りたければ、
    その型を、寸分も違わず、修め尽くして、
    背景に、隠されている、理合まで解します。
    その先に、達人の超常性、破離が現われます。

 

    同様に、神道の達人に、成りたければ、
    その型を、寸分も違えず、修め尽くして、
    万物に、貫かれている、奥義まで悟ります。
    その先に、菩薩の多様性、役割が生まれます。

 

    弟子を囲い、忖度の中で、業を魅せる、
    偽物の達人は、神の道には、要りません。
    ここに招かれた、独り独りが、菩薩となり、
    万物の達人の、型を見せる、時節が来ました。

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