物語編
第六章 第三八話 物語編
第六章 太陽 と 太陰
第三八話 陽を究める極 と 陰を究める極
主は、彼を見送ってから、このように二人に告げた。
〔善きにつけ、悪しきにつけ、今の彼の行為に、
来たる次の羯磨、魚座の時代が、象徴されていた。
彼の業を説き明かしつつ、次の劫を解き明かそうか。〕
〔第一に、他は従がったが、彼は随わなかった。
他の弟子は、英雄に従う、白羊宮の支配下にあり、
彼の業は、真理に順わない、双魚宮の影響下にある。〕
〔すなわち、師である私に求めた、彼の行為は、
従うことなく、逆らったという点で、醜かったが、
飽きることなく、諦めないという点で、美しかった。〕
〔第二に、彼は外に出され、汝は内に残された。
彼は、顕教を世に広める、双魚宮のカルマを持ち、
汝らは、密教で世を動かす、宝瓶宮のダルマを持つ。〕
〔すなわち、魚座こそ、陰と陽に分かれる時代。
彼に、私が託す順の道は、浅いが広く認められる。
汝らに、私が残す逆の道は、深いが誰も観とめない。〕
〔誰かが正しく、誰かが誤っている、と考えず、
誰もが正しく、誰も誤っていない、と省みなさい。
そうすれば、大勢が偏る中に在って、太極に止まる。〕