物語編
第六章 第四三話 物語編
第六章 友愛 と 博愛
第四三話 友と親しむ愛 と 敵と親しむ愛
〔ここで、今まで、親愛と言われていたものを、
さらに、友愛と博愛に、分けてみることにしよう。
どうして、横に向かう愛が、縦に向かうのだろうか。〕
〔親愛の法は、友愛と博愛に、小さく分かれる。
友愛は、善を積み重ね、業を移し変える方であり、
博愛とは、徳を積み重ね、業を乗り越える法である。〕
〔智徳よ、内に向かう友愛とは、如何なる愛か。〕
「主よ、神に従がう、友を愛する、同胞の愛かと。
友を愛した如く、友に愛される、言わば、有償の愛。」
〔法徳よ、外に向かう博愛とは、如何なる愛か。〕
『主よ、神に逆らう、敵を愛する、異邦の愛かと。
敵に憎まれようと、敵を愛する、言わば、無償の愛。』
〔智徳よ、このように分けると、何が分かるか。〕
「主よ、友愛と博愛の関係は、親愛と信愛の関係。
即ち、神の敵を許す時こそ、神の愛に触れる時かと。」
〔法徳よ、このように悟るとき、何を悟るのか。〕
『主よ、大の中に小があり、小の中にも大がある。
即ち、ありとあらゆるところ、神の愛が溢れている。』
〔妙なることだ、智徳よ、稀なることだ、法徳よ。
友愛を究めよ、その果報により、博愛に極められる。〕