物語編
第六章 第四九話 物語編
第六章 性愛 と 慈愛
第四九話 他を落とす愛 と 他を育てる愛
〔魔物に襲われた母と子が、魚に化けて逃げる。
魔物から逃げたいのだが、相手とは別れたくない。
互いの尾と尾を結んでしまい、決して逃げ切れない。〕
〔その子、性の神のエロースの法は、快を司る。
快を追うものは、その後を、苦に追われてしまう。
苦を避けようとし、その前の、快に囚われてしまう。〕
〔その母、愛の神のアフロディテは、美を司る。
美を愛するものは、その下で、醜を憎んでしまう。
醜さを隠そうとして、その上に、美を重ねてしまう。〕
〔双魚宮とは、追うからこそ、追われてしまい、
愛するがゆえに、憎まねばならない、両難の時代。
性愛に狂った者が、分裂と対立を、繰り返していく。〕
〔智徳よ、慈愛の法が交されると、如何なるか。〕
「主よ、選民に限られた契約が、万民まで広がる。
即ち、牡羊の時代が終わり、魚座の時代が始るかと。」
〔法徳よ、慈愛の法が果されると、如何なるか。〕
『主よ、性愛に耽る民が、最終戦争で滅ぼされる。
即ち、魚座の時代が終わり、水瓶の時代が始るかと。』
〔妙なることだ、智徳よ、稀なることだ、法徳よ。
性愛を断じよ、その果報により、宝瓶宮が開かれる。〕