第六章　　　　　双魚宮
第四九回　性愛　の裏に　慈愛

双魚宮とは、一が二に分かれる時代のこと
性と愛の神が、怪物テュポーンに追われるが
二匹の魚に化け、互いの尾を結んで逃げていく
災厄から逃げても、紐が邪魔をして逃げ切れない

性の神エロースは、恋慕と憎悪を組とする
金の矢で恋心を誘い、鉛の矢で憎しみに誘う
快に溺れると、我に囚われて、苦に追われるが
楽を離れるほど、我に捕われず、難に負われない

愛の神アフロディテは、美と醜を組とする
美しい顔の裏に、嫉妬に狂った醜い顔を隠す
美に溺れると、我に囚われて、醜に追われるが
善を離れるほど、我に捕われず、悪に負われない

性愛は、我を愛する、二に別れる心のこと
慈愛とは、神を愛する、一に合せる心のこと
世の人が性愛に溺れると、双魚宮が地に表れて
世の人が慈愛を覚えるとき、宝瓶宮が地に現れる