物語編
第六章 第五二話 物語編
第六章 白羊 と 双魚
第五二話 従属する時代 と 独立する時代
〔私は、贖罪の山羊として、神に遣わされた者。
私が屠られることなく、民が救われることはない。
そして、我が命を天に還すのは、汝らが天命である。〕
〔智徳よ、汝は、子羊と法徳を、引き合わせよ。
それまでは、従事するが、それからは、叛逆する。
因縁に流されて、子羊に叛くのが、汝が定めである。〕
「主よ、主に叛くことなど、私にはありません。」
〔否、これは、汝の意志であり、神の意思である。
背かずには居られないし、叛かないと為らなくなる。〕
〔法徳よ、汝は、子羊と人類を、引き合わせよ。
それまでは、待望するが、それからは、失望する。
律法に縛られて、子羊を屠るのが、汝が務めである。〕
『主よ、主を屠ることなど、私にはできません。』
〔否、これは、汝の選択であり、民の選択である。
汝が努めようとしないと、誰かが務めることになる。〕
〔型たるもの、心の迷いに囚われてはならない。
いま、汝らが動じれば、型が崩れて、形が変わる。
全てを捧げて、汝らに与えられた、天の命を果たせ。〕
〔人類の歴史は、悉く神の命で動かされている。
この秘法を、汝らが悟ることなく、誰が悟るのか。
この解読のために、世の人々は、魚座の時を要する。〕