第一章 第四話 対話編
CASE 肯定 の裏に 否定
マナミ 肯い定める、肯定って、どういうものなの?
マサシ 肯定とは、見とめてから、表に現すことだよ。
マナミ 否み定める、否定って、どういうものなの?
マサシ 否定とは、見とめてから、裏に隠すことだよ。
マナミ 肯定と否定、どちらも、見とめることなの?
マサシ 直視して、現すか隠すか、後半が違うだけさ。
マナミ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
マサシ じゃ、円柱を横に切れば、断面は円形だし、
一方で、円柱を縦に切れば、断面は四角だね。
マナミ うん、円を見ていると、反対の円が見えない。
マサシ そうさ、円と円こそ、肯定と否定の関係だよ。
マナミ うん、円を見ていると、四角が見えなくなる。
マサシ そうさ、円と四角が、直視と無視の関係だよ。
マナミ 直視した、二つの円形は、認め易くなるけど、
無視された、二つの四角は、認め難くなるの?
マサシ 縦に切り、固定するから、円形は認め易い。
横に切らず、固定するから、四角は認め難い。
マナミ 肯定しようと、否定しようと、固定なのね。
マサシ 認めようと、見とめまいと、この通りなのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 肯定 の先に 否定
サトミ Aであると、肯定って、どういうものかな?
メグミ 肯定とは、見とめてから、認めることなのよ。
サトミ Aを見つめ、Aであるって、思っているの?
メグミ 直視してから、誤りでないと、想っているよ。
サトミ Aでないと、否定って、どういうものかな?
メグミ 否定とは、見とめてから、認めないことだよ。
サトミ Aを見つめ、Aでないって、思っているの?
メグミ 直視してから、誤りであると、想っているよ。
サトミ そうすると、肯定にしても、否定にしても、
直視してから、判断している、ってことだね。
メグミ 否定と無視って、似ている様で、全く違うよ。
サトミ 何であろうと、否定するほど、どうなるの?
メグミ 良く捕えて、囚われるから、近づいてくるよ。
サトミ 何であろうと、無視するほど、どうなるの?
メグミ 全く捉えず、知らないから、遠のいていくよ。
サトミ 嫌な者を、否定するほど、離れられないの?
メグミ そうよ、好きになって、飽きるまで離れない。
サトミ 嘘よ、そんな酷い話って、誤りに決ってるわ。
メグミ うふっ、そんな否定したら、近づいちゃうよ。
サトミ ……………………
CASE 否定 という 肯定
サトシ 肯定にしても、否定にしても、固定なんだよ。
サトミ Aであるも、非Aであるも、同じというわけ?
サトシ そうだよ、Aに固定する、その点で同じだよ。
サトミ Aにしても、非Aにしても、Aの対立であり、
本来なら、BやCを選んでも、良いってこと?
サトシ そうさ、Aと非Aの対立に、意識が囚われて、
無意識の、BやCの可能性を、意識できない。
サトミ うそよ、BやCは、非Aの中に有るんだから、
Aを否定していれば、意識できるはずでしょ。
サトシ 非Aを意識しても、Aと非Aが表れるだけ。
Bを意識しなければ、Bや非Bは現れないよ。
サトミ 勝手に、BやCを、非Aに含めるなってわけ?
サトシ そうだよ、あくまで、Bは非Bとセットだよ。
サトミ 例えば、猫を考えると、非猫が埋れるけど、
幾ら、非猫を意識しても、犬は現われないの?
サトシ そうさ、猫と非猫の対立に、囚われていたら、
ますます、その他の物は、思い付かなくなる。
サトミ うそよ、思い付かないのは、あんただけよ。
サトシ この話は、もう止めよう、対立がズレている。
サトミ ……………………
CASE 肯定 と 固定 と 否定
サトシ 固め定める、固定って、どういうものかな?
マサシ 固定とは、見とめてから、固く定めることさ。
サトシ 肯い定める、肯定って、どういうものかな?
マサシ 肯定とは、見とめてから、表に定めることさ。
サトシ 否み定める、否定って、どういうものかな?
マサシ 否定とは、見とめてから、裏に定めることさ。
サトシ つまり、肯定でも否定でも、固定するけど、
表にするか、裏にするか、仕方が違うのかな?
マサシ うん、例えば、Aであると、固定してみよう。
すると、Aまたは非Aに、巻き込まれるよね?
サトシ う、うん、Aまたは非Aに、巻き込まれるよ。
マサシ 本当は、BとかCとかを、考えても良いけど、
Aであると固定すると、Aか非Aになるよね?
サトシ う、うん、確かにね、Aか非Aになっている。
マサシ 別に、肯定しないでも、否定しても良いよ。
しかし、どちらにしても、Aに固定するよね?
サトシ う、うん、Aであると肯定しても、Aのまま。
反対に、Aでないと否定しても、Aのままだ。
マサシ ほら、肯定しても否定しても、こうなるのさ。
サトシ ……………………!!