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物語編

第六章 第三七話 対話編

CASE 利欲 の裏に 法欲

 

マナミ ねぇ、アルタ、利欲って、どういうものなの?
マサシ 利欲とは、欲を持って、利に塗れる欲なのさ。
マナミ 理に臨まず、利を望むと、どうなるのかな?
マサシ 利が現れ、理が歪んでいき、害が埋まれるよ。
マナミ じゃ、ダルマ、法欲って、どういうものなの?
マサシ 法欲とは、欲を以って、利を越える欲なのさ。
マナミ 利に臨まず、理を望むと、どうなるのかな?
マサシ 害が表れ、理が直っていき、徳が生まれるよ。
マナミ う~ん、利が生れただけ、害が産まれるなら、
    初めから、欲を離れてたら、良いんじゃない?
マサシ ううん、小さな欲ならば、小さな徳になるし、
    逆に、大きな欲ならば、大きな徳になるのさ。
マナミ じゃあ、大きな利と、大きな害を味わうほど、
    大いなる理を悟り、大きな智と徳を培えるの?
マサシ 若いときは、欲を持って、利を望むべきで、
    老いてからは、徳を以って、理に臨むべきさ。
マナミ つまり、年を取っても、欲に塗れていたら、
    もう、救い切れない、苦しみだらけになるの?
マサシ そうさ、掬い切れない、法は持ち越すだけさ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 利欲 の先に 法欲

 

サトミ 利を欲する、利欲って、どういうものかな?
メグミ 利欲とは、良くを持って、利を求めることよ。
サトミ 害に臨まず、利を望むほど、どうなるのかな?
メグミ 害を隠すため、幻を使うから、痴が生じるよ。
サトミ 幻に覆われ、痴に塗れると、どうなるのかな?
メグミ 少しずつ、苦楽に充ちた、欲の世界になるよ。
サトミ 法を欲する、法欲って、どういうものかな?
メグミ 法欲とは、良くを以って、理を求めることよ。
サトミ 利に臨まず、理を望むほど、どうなるのかな?
メグミ 害に臨むため、幻を拭うから、智が生じるよ。
サトミ 幻が晴れて、智が具わると、どうなるのかな?
メグミ 少しずつ、歓喜に満ちた、徳の世界になるよ。
サトミ 利欲の段は、幻影に嵌って、智徳を汚して、
    法欲の階では、幻影を祓って、智徳を研くの?
メグミ その通りよ、智にしたって、徳にしたって、
    穢されてから、磨かれてこそ、大きくなるの。
サトミ う~ん、敢えて、美しいものを、汚すのって、
    良くないことだし、なかなか、出来なくない?
メグミ うふっ、その良くがあれば、簡単に出来るよ。
サトミ ……………………

 


 

CASE 利欲 と 法欲 と 離欲

 

マナミ ねぇ、カーマ、欲って、どういうものなの?
マサシ 欲望は、臨んでいくことを、望んでいるのさ。
マナミ じゃ、アルタ、利欲って、どういうものなの?
マサシ 利欲は、欲を適えることを、望んでいるのさ。
マナミ じゃ、ダルマ、理欲って、どういうものなの?
マサシ 法欲は、欲を越えることを、望んでいるのさ。
マナミ じゃ、モクシャ、離欲は、どういうものなの?
マサシ 解脱は、欲を越えることに、臨んでいるのさ。
マナミ 利を望むと、欲に塗れて、徳が小さくなり、
    理を望むほど、欲を越えて、徳が大きくなる?
マサシ そうだよ、すべては、カーマの使い方次第さ。
マナミ だからこそ、四つの段階で、人生を分けて、
    カーマ、アルタ、ダルマ、モクシャと辿るの?
マサシ うん、欲を持って、大きくして、越えてこそ、
    大いなる解脱に、辿り着くことが出来るのさ。
マナミ どうせ越えるなら、欲は小さい方が良くない?
マサシ それだと、欲を越える欲も、少なくなるよ。
マナミ じゃあ、最初から、欲を持たなければ良いの。
マサシ それだと、そもそも、生まれる意味も無いね。
マナミ ……………………

 


 

CASE 法欲なき利欲 と 利欲なき法欲

 

サトミ 利欲と法欲、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 利を欲する、利欲って、どういうものかな?
メグミ 利欲とは、利を楽しんで、欲を鍛えるものよ。
サトミ 法を欲する、法欲って、どういうものかな?
メグミ 法欲とは、法を愉しんで、欲を越えるものよ。
サトミ 利欲を望み、法欲に臨まないと、どうなるの?
メグミ 法欲なき利欲なんて、唯の強欲に過ぎないよ。
サトミ じゃ、法を望まないと、理が直らなくなるの?
メグミ そうよ、理が直らないと、害が消えないのよ。
サトミ 法欲を望み、利欲に臨まないと、どうなるの?
メグミ 利欲なき法欲なんて、只の寡欲に過ぎないよ。
サトミ じゃ、利を望まないと、理を辿れなくなるの?
メグミ そうよ、理を辿らないと、徳が現れないのよ。
サトミ 利欲だけでは、害が過ぎて、器に掬えない。
    法欲ばかりでは、理が過ぎて、器を培えない。
メグミ うん、利欲と法欲、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、利欲を究めて、法欲を極めていくの?
メグミ うん、利欲を超えて、法欲を越えていくのよ。
サトミ ……………………!!

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