第六章　　　　最悪　　　と　　　最善
第五四話　煩悩が窮まる　と　菩提が極まる

〔類い稀なる菩提心を持つ、我が愛する弟子達よ。
これより、各々の天命を知らせるから、心して聞け。〕

〔子羊は、空白の期間に、人知れず行を修めて、
突如、仏陀として降臨する、王者の済度を務める。
民の先を進み、神の子として、絶対の真理を伝える。〕

〔涅槃の光に照らされ、神懸りの奇跡を起こし、
それを見た善き人は、私を救い主と信じるだろう。
しかし、それでも、依然として、関心なき者が残る。〕

〔智徳は、衆生の視点で、敵と味方を行き交い、
全ての民を法輪に巻き込む、船頭の済度を務めよ。
民と共に歩み、人の子として、相対の真理を明かせ。〕

〔善が悪に移り、悪が善に映る、船酔いの中で、
各々の最悪の仇の中から、救い主が現れるだろう。
しかし、それゆえ、釈然とせず、敵対する者が残る。〕

〔法徳は、最後に悪人を、悔い改めさせるため、
地獄の底辺まで探し求める、羊飼の済度を務めよ。
民の後を追い、魔の子として、地獄の業火を浴びよ。〕

〔最善と最善が戦い、最悪に変わる最後の日に、
十分に手放したくなる、一厘の仕組が起こされる。
しかし、それゆえ、必然として、蜘蛛の意図を知る。〕