物語編
第六章 第六十話 物語編
第六章 人法 と 神法
第六十話 人に返す教え と 神に還る教え
これが、歪だったが、人類の自立の瞬間だった。
そのとき、彼は、魚座の時代が開けたのを知った。
同時に、終末が記されたのが見えて、鮮血を吐いた。
『主よ、この未来は、余りに酷過ぎはしないか。
許してやってくれ、彼らは何も知らなかったのだ。
もし、これが真実なら、生まれなかった方がましだ。』
神の子の跡を追い、彼は悲痛な叫びを発したが、
人類の原罪を背負った、時の流れは戻らなかった。
人々の善に導かれて、神の子は十字架に掛けられた。
『我が主よ、なぜに、彼らを見捨てたのですか。
それとも、これが、彼らが選んだ道、なのですか。
残酷な結末を背負い、人類は何を糧に生きて行けと。』
諦め切った絶望の中に、一筋の光明が差し込んだ。
優しい気持ちに包まれて、主の思いが伝わって来る。
『分かりました、主よ、子羊の命と引き換えに、
二千の猶予が与えられたと、考えるとしましょう。
同じ過ちを繰り返さないよう、彼らを育てましょう。』
『願わくば、主が、御霊として復活するまでに、
あらゆる仕組を整え、主の神殿で待てますように。
繰り返し生まれ変わり、再臨の証を解けますように。』