第六章 第三八話 対話編
CASE 太陽 の裏に 太陰
マナミ ねぇ、スーリヤ、太陽は、どういうものなの?
マサシ 太陽とは、陽を司って、陽を究めるものだよ。
マナミ 例えば、陽の性質は、どういうものがあるの?
マサシ 光、男性、明、昼、動、剛、火、動物などさ。
マナミ じゃ、チャンドラ、月は、どういうものなの?
マサシ 太陰とは、陰を司って、陰を極めるものだよ。
マナミ 例えば、陰の性質は、どういうものがあるの?
マサシ 闇、女性、暗、夜、静、柔、水、植物などさ。
マナミ じゃ、太陽が生まれると、太陰が埋まれて、
反対に、太陰が生まれると、太陽が埋まれる?
マサシ うん、小陽が生まれると、小陰が産まれて、
反対に、大陰が産まれると、大陽が生まれる。
マナミ ということは、永遠に続くと、思い込んで、
器以上のことを、望んでいると、後で慌てる?
マサシ そうさ、大いなる陽を、追っているものは、
そのうち、大いなる陰を、負うことになるよ。
マナミ 本当かなあ、光は光のまま、闇は闇のまま、
これって、どんなときも、変わらないと思う。
マサシ そうさ、器以上のことはね、臨まないことさ。
マナミ ……………………
CASE 太陽 の先に 太陰
サトミ 大いなる陽、太陽って、どういうものかな?
メグミ 太陽とは、陽を究めると、大きくなることよ。
サトミ 大きくなり、陽が窮まると、どうなるのかな?
メグミ 大いなる陽は、大いなる陰に、移り変わるよ。
サトミ 大いなる陰、太陰って、どういうものかな?
メグミ 太陰とは、陰を極めると、大きくなることよ。
サトミ 大きくなり、陰が窮まると、どうなるのかな?
メグミ 大いなる陰は、大いなる陽に、遷り換わるよ。
サトミ 器に入るまでは、陰も陽も、大きくなるけど、
器を超えると、裏に在る物に、引っ繰り返る?
メグミ 確かに、器が大きいほど、先に延ばせるけど、
先に延ばし、膨れ上がった、裏に襲われるよ。
サトミ それじゃ、光だけ愛して、闇を憎んでいたら、
いずれ、器に入り切らない、闇に襲われるの?
メグミ うん、だから、光と闇を、等しく見とめて、
あまり、闇の側ばかり、憎まない方が良いよ。
サトミ あたしが、光だけ愛して、闇を憎んでいたら、
いずれ、あたし自身が、闇に落ちてしまうの?
メグミ そうして、繰り返すのは、もう限界なのかも。
サトミ ……………………
CASE 陰 陽 の ヨ ー ガ
サトシ あのね、ハタ・ヨーガは、どういうものかな?
マサシ 陰陽のバランスを取り、カルマを越えるのさ。
サトシ ハタの「ハ」、太陽って、どういうものかな?
マサシ 太陽とは、吸気、理想、男性などを表すのさ。
サトシ ハタの「タ」、太陰って、どういうものかな?
マサシ 太陰とは、吐息、現実、女性などを表すのさ。
サトシ 陰陽の、バランスが取れないと、どうなるの?
マサシ 陰と陽の、片方に捕らわれて、病気になるよ。
サトシ 陰陽の、バランスが取れるとき、どうなるの?
マサシ 陰も陽も、両方に囚らわれず、元気になるよ。
サトシ つまり、そもそも、陰気と陽気は、等しいの?
片方に捕われるから、もう片方が見えないの?
マサシ うん、実際は、病気も、ハタ・ヨーガなのさ。
身体を苦しませることで、心を治しているよ。
サトシ 病気は、過ちを教えてくれる、先生なのかな?
マサシ うん、それを認められると、元気になるのさ。
サトシ う~ん、病気が先生って、認められないなあ。
そもそも、病気に為りたい人なんて、居るの?
マサシ ううん、そんな、病気に捕われなくて良いよ。
サトシ ……………………
CASE 太陰なき太陽 と 太陽なき太陰
サトミ 太陽と太陰、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 陽を究める、太陽って、どういうものかな?
メグミ 太陽とは、表に現われる、性を究めることよ。
サトミ 陰を極める、太陰って、どういうものかな?
メグミ 太陰とは、裏に隠される、性を極めることよ。
サトミ 太陽を望み、太陰に臨まないと、どうなるの?
メグミ 太陰なき太陽なんて、唯の白光に過ぎないよ。
サトミ じゃ、表ばかりを見て、有り勝ちになるの?
メグミ そうよ、裏を見ないから、在り難くならない。
サトミ 太陰を望み、太陽に臨まないと、どうなるの?
メグミ 太陽なき太陰なんて、只の闇黒に過ぎないよ。
サトミ じゃ、裏ばかりを見て、当たり前になるの?
メグミ そうよ、表を見ないから、有り難くならない。
サトミ 太陽だけでは、明る過ぎて、何も見えないし、
太陰ばかりでは、暗く過ぎて、何も見えない?
メグミ うん、太陽と太陰、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、太陽を究めて、太陰を極めていくの?
メグミ うん、太陽を超えて、太陰を越えていくのよ。
サトミ ……………………!!