第六章 第五一話 対話編
CASE 贖罪 の裏に 復活
マナミ キリスト、救世主って、どういうものなの?
マサシ 救世主とは、時代の節目に、現われる者だよ。
マナミ 古い時代から、新しい時代に、移し変えるの?
マサシ 古い時代の、最悪の象徴として、振る舞い、
新しい時代の、最善の象徴として、振る舞う。
マナミ 古い時代の、贖罪って、どういうものなの?
マサシ 贖罪とは、人の業を負い、恨まれることだよ。
マナミ 最悪の型が、世間を煽ると、どうなるのかな?
マサシ 世の人は、救世主を危め、葬ってしまうのさ。
マナミ 人々が、型を葬るから、自らも葬られるの?
マサシ そうだよ、こうして、古い時代は幕を閉じる。
マナミ 新しい世の、復活って、どういうものなの?
マサシ 復活とは、神の業を示し、敬われることだよ。
マナミ 最善の型が、世界に蘇ると、どうなるのかな?
マサシ 世の人は、救世主を崇め、認めてしまうのさ。
マナミ 人々が、型に従うから、自らも認められるの?
マサシ そうだよ、こうして、新しい時代の幕が開く。
マナミ そっか、人間が変らないと、時代も変らない。
マサシ 救世主が、手本となって、生まれ変わるのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 贖罪 の先に 復活
サトミ いつまで、経っても、救世主が現れないね。
メグミ 人々は、救世主なんて、望んでいないからね。
サトミ そうかな、あたしは、求めているんだけどね。
メグミ 救世主とは、時代を変えて、世界を救う者よ。
現在の時代に、囚われる人が、求めると思う?
サトミ 愛着していたら、変えることを、望まないね。
メグミ だから、救世主は、今の時代の悪を象徴して、
悪い型を演じながら、迫害を受けようとする。
サトミ 人々は、救世主を、悪として葬ってしまい、
その業で、自分達も、悪として葬ってしまう。
メグミ 続いて、救世主は、次の時代の善を象徴して、
善い型を演じるため、復活を果たそうとする。
サトミ じゃあ、救世主が、善として認められるのは、
すべてが、終わって、歴史を振り返ってから?
メグミ 後から、振り返った時、救世主と気づくのよ。
サトミ 悪者と思い、迫害したら、自分は悪を積み、
その悪者こそ、救世主って、嫌らしい仕掛ね。
メグミ 鏡に映っている、自分の姿を、攻撃させる。
時代を映して、次代に移すのが、救世主なの。
サトミ ……………………!!
CASE 白いキリスト と 黒いキリスト
マナミ ナザレのイエスって、どういう役を演じたの?
マサシ 彼は、人類の罪を負い、双魚宮を開いた役さ。
マナミ ナチスのヒトラーは、どういう役を演じたの?
マサシ 彼は、人類の業を示し、双魚宮を閉じた役さ。
マナミ 人類が、闇に抱えていた、罪を解き示したの?
マサシ そうだよ、禁忌として、隠し続けて来た業を、
自らが、演じ切ることで、噴き出させたのさ。
マナミ その結果、自分にも有ると、見とめられたら?
マサシ 人類は、罪を乗り越えて、次の時代に移るよ。
マナミ その結果、自分には無いと、認めなかったら?
マサシ 人類は、罪を覆い隠して、前の時代に戻るよ。
マナミ イエスに、罪を贖われたと、言われるけど、
罪の清算を、延ばしてくれた、という訳なの?
マサシ そうだよ、双魚宮の間だけ、猶予をくれたよ。
マナミ 実際に、双魚宮の終りに、ヒトラーが現れた。
マサシ 彼は、イエスが始めた、仕事を終らせに来た。
マナミ う~ん、ヒトラーなんて、単なる独裁者なの。
マサシ ほら、禁忌扱いしていると、繰り返すだけさ。
実際に、彼が辿った道を、人類が辿っている。
マナミ ……………………
CASE 復活なき贖罪 と 贖罪なき復活
サトミ 贖罪と復活、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 人業を贖う、贖罪って、どういうものかな?
メグミ 贖罪とは、悪い型を壊し、旧い世を閉すのよ。
サトミ 神業を示す、復活って、どういうものかな?
メグミ 復活とは、善い型を創り、新しい世を開くの。
サトミ 贖罪を望み、復活に臨まないと、どうなるの?
メグミ 復活なき贖罪なんて、引き延しに過ぎないよ。
サトミ じゃ、猶予だけ与えて、手本を示さないの?
メグミ そうよ、悔い改めないし、罪に呑まれるのよ。
サトミ 復活を望み、贖罪に臨まないと、どうなるの?
メグミ 贖罪なき復活なんて、見せ付けに過ぎないよ。
サトミ じゃ、手本だけ示して、猶予は与えないの?
メグミ そうよ、恥じ入るだけで、罪に苛まれるのよ。
サトミ 贖罪だけは、縋り付くけど、救われないし、
復活ばかりは、思い知るけど、救われないの?
メグミ うん、贖罪と復活、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、贖罪を負って、復活を追っていくの?
メグミ うん、贖罪を究めて、復活を極めていくのよ。
サトミ ……………………