第六章 第五八話 対話編
CASE 賎民 の裏に 選民
マナミ 他と等しい、賎民って、どういうものなの?
マサシ 賎民とは、特別であると、自らを捕える民さ。
マナミ 自らを、非凡と見ると、どうなっていくの?
マサシ 他の者と、同じに為って、平凡になっていく。
マナミ 他と異なる、選民って、どういうものなの?
マサシ 選民とは、特別でないと、自らを捉える民さ。
マナミ 自らを、平凡と見ると、どうなっていくの?
マサシ 他の者と、違いが生まれ、非凡になっていく。
マナミ う~ん、違いを求めるのは、どうしてなの?
マサシ そもそも、我そのものが、業を積み重ねて、
自分らしさ、独自性を創る、存在だからだよ。
マナミ それなら、普遍性を悟るのは、永遠に無理ね。
マサシ 初めは、業に流されるため、独自性を生み、
最終的に、業が均されるため、不偏性を産む。
マナミ Aも非Aも、経験したとき、普遍性を悟るの?
マサシ 年季が入った、成熟した魂は、平凡になるよ。
マナミ 未熟な魂は、非凡に見えて、選れていない。
老成した魂は、平凡に見えて、優れているの?
マサシ 魂が最後に還る、安心を秘める、平凡なのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 賎民 の先に 選民
サトミ もう、選民思想ばかり、嫌になっちゃうね。
例えば、あの国家もそう、あの宗教もそうよ。
メグミ うん、自尊心が無いと、欲塗れになるからね。
人類を、治めるのに、選民思想は便利なのよ。
サトミ 自分だけ、特別だって、好き勝手するから、
それが、特別じゃないと、言って遣ってるの。
メグミ うん、自分は特別って、誰もが思っているの。
だから、特別と思うほど、特別じゃないのよ。
サトミ それなら、本当の選民って、どういう人なの?
メグミ 特別と、思っていたけど、特別ではなかった。
そう、悔い改めた人が、特別な手本になるの。
サトミ 特別と、言い続けるほど、詰め寄られるけど、
その結果、悔い改めるとき、真に特別になる?
メグミ そうよ、彼らが周りから、指摘されたように、
他の人も、周りに指示され、悔い改めるのよ。
サトミ じゃあ、あたしが、あいつら非難していたら、
その時が、来たとき、あたしも批難されるの?
メグミ うふっ、そうなの、あなたも言っていたよね。
ほら、あなただけが、何も特別じゃないって。
サトミ ……………………
CASE 最 後 の 仕 組
マサシ いよいよ、最後の審判が、始まりそうだね。
最後の仕組が整えば、最終の戦争が始まるよ。
サトシ 直に始る、最終の戦争は、どういうものかな?
マサシ 最善を賭け、善と善が戦う、最悪の戦争だよ。
サトシ 直に整う、最後の仕組は、どういうものかな?
マサシ 最善を譲り、善が徳に変る、最後の雛型だよ。
サトシ じゃ、皆が最善を望む中、誰かが最善を譲る。
そんな、型が創られて、形が広がっていくの?
マサシ 最も早く、選民の思想を、抜け出せたものが、
終末の時に、本当の選民と、言い渡されるよ。
サトシ その型が、現れるまでは、戦争は始らないの?
マサシ その型こそ、最悪を抜ける、出口を司るのさ。
解を持たない、試練を課せば、地獄と化すよ。
サトシ なるほどね、最終戦争の出口は、誰なのかな?
マサシ 誰も遣らない、誰でも嫌がるのが、実情だね。
サトシ う~ん、どうして、誰も選ばれたくないの?
ある意味、本当の選民に、選ばれるんだよね。
マサシ 最終戦争を、誰よりも早く、体験するからさ。
苦しい中、独り突き進み、出口を抉じ開ける。
サトシ ……………………
CASE 選民なき賎民 と 賎民なき選民
サトミ 賎民と選民、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 有り触れた、賎民って、どういうものかな?
メグミ 賎民とは、非凡を望んで、平凡に臨むものよ。
サトミ 有り難たい、選民って、どういうものかな?
メグミ 選民とは、平凡を望んで、非凡に臨むものよ。
サトミ 賎民を望み、選民に臨まないと、どうなるの?
メグミ 選民なき賎民なんて、未熟な民に過ぎないよ。
サトミ じゃ、選れようとして、優れない人だけなの?
メグミ それが、有り触れるから、何の学びも無いの。
サトミ 選民を望み、賎民に臨まないと、どうなるの?
メグミ 賎民なき選民なんて、過熟な民に過ぎないよ。
サトミ じゃ、選れようとせず、優れる人ばかりなの?
メグミ それが、有り触れるから、何の学びも無いの。
サトミ 賎民だけでは、違って見え、当り前になり、
選民ばかりでは、同じに見え、当り前になる?
メグミ うん、賎民と選民、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、賎民を負って、選民を追っていくの?
メグミ うん、賎民を究めて、選民を極めていくのよ。
サトミ ……………………!!