第一章 第九話 対話編
CASE 顕在 の裏に 潜在
マナミ 顕れて在る、顕在って、どういうものなの?
マサシ 顕在とは、意識ができる、自意識のことだよ。
マナミ 表に現れる、意識って、どこに現れているの?
マサシ 陰と陽が、相として並び、空間に現れるのさ。
マナミ 空間として、相が現れると、どうなるのかな?
マサシ 自意識が、空間を捉えて、意味を観じるのさ。
マナミ 潜んで在る、潜在って、どういうものなの?
マサシ 潜在とは、意識できない、無意識のことだよ。
マナミ 裏に隠れる、意識って、どこに隠れているの?
マサシ 陰と陽を、層として重ね、時間に隠れるのさ。
マナミ 時間として、層が重なると、どうなるのかな?
マサシ 無意識が、時間を捕えて、意識を感じるのさ。
マナミ つまり、相が広がると、空間の意味に変わり、
逆に、層が重なると、時間の意識に換わるの?
マサシ 長い間に、積み重ねた、意識に比べたらね、
意識できる、意味なんて、氷山の一角なのさ。
マナミ なるほど、時間に比べたら、空間なんて瞬間。
マサシ しかし、意識しようとすれば、こんな感じに、
幾らでも、意味が、無意識から、顕れて来る。
マナミ ……………………!!
CASE 顕在 の先に 潜在
サトミ 表に現れる、顕在意識は、どういうものかな?
メグミ 顕在とは、焦点が当たった、意識のことなの。
サトミ 裏に隠れる、潜在意識は、どういうものかな?
メグミ 潜在とは、焦点が当らない、意識のことなの。
サトミ 焦点が当る、当らないは、どういうことなの?
メグミ そもそも、意識とは、意味が集まったものよ。
意味が、積み重なって、意識に移り変わるの。
サトミ 蓄積した、意味の中から、自分らしさを選び、
焦点を、当てている意識が、顕在の意識なの?
メグミ うん、自分らしさを保つため、厳選するのよ。
サトミ う~ん、今まで積み重ねた、すべての意味を、
自分だと、受け容れることは、出来ないかな?
メグミ 正反対のものが、存在するから、出来ないよ。
例えば、あなたは、わたしのこと、好きかな?
サトミ もちろん、わたしは、あなたが、大好きだよ。
メグミ でもね、心の奥に、大嫌いな、自分も居るの。
今の自分は、そんな自分を、受け容れないよ。
サトミ 嘘よ、あなたを嫌う、あたしなんて居ないわ!
メグミ うふっ、有り難う、でも、こういうことなの。
サトミ ……………………
CASE 顕在 という 潜在
サトミ あたし、アツシ君、あなたのこと大好きなの。
アツシ 表に、大好きという、意識が顕れていると、
裏には、大嫌いという、意識が潜んでいるぞ。
サトミ やだ、そんなことないよ、嫌いな訳ないもん。
アツシ いいや、潜在意識には、俺を嫌う君が居るぞ。
サトミ もう、そんな酷いことを、どうして言うの!
こんな、大好きなのに、大嫌いになっちゃう。
アツシ その、相手の所為にして、嫌っている意識は、
元から、君の心の奥に、潜んでいる意識だぞ。
サトミ 心の奥を、直接的に、見とめられないから、
人を介して、間接的に、顕わしてしまうわけ?
アツシ そうだな、器が小さいと、矛盾を認めない。
片方を、外に映し出し、対立と捉えてしまう。
サトミ それなら、どう捉えたら、器が大きくなるの?
アツシ 嫌いなほど、好きになると、受け容れろよ。
表も裏も、全て認めると、器が大きくなるな。
サトミ つまり、矛盾の一方を、相手に着せないで、
どちらも、自分の内側で、補完すれば良いの?
アツシ そうだ、だからこそ、嫌う自分も認めてくれ。
サトミ ……………………!!
CASE 潜在なき顕在 と 顕在なき潜在
サトミ 顕在と潜在、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 我に顕れる、顕在って、どういうものかな?
メグミ 顕在とは、表に現われる、自意識のことだよ。
サトミ 我に隠れる、潜在って、どういうものかな?
メグミ 潜在とは、裏に隠される、無意識のことだよ。
サトミ 顕在を望み、潜在に臨まないと、どうなるの?
メグミ 潜在なき顕在なんて、無意識に沈むだけだよ。
サトミ じゃ、支えられないと、沈んでしまうだけ?
メグミ そうよ、顕在意識なのに、潜在意識になるよ。
サトミ 潜在を望み、顕在に臨まないと、どうなるの?
メグミ 顕在なき潜在なんて、自意識に浮ぶだけだよ。
サトミ じゃ、支えていないと、浮んでしまうだけ?
メグミ そうよ、潜在意識なのに、顕在意識になるよ。
サトミ 顕在だけでは、沈んでいき、潜んでしまい、
潜在ばかりでは、浮んでいき、顕れてしまう?
メグミ うん、顕在と潜在、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、潜在を感じて、顕在を観じていくの?
メグミ うん、潜在を介して、顕在を解していくのよ。
サトミ ……………………!!