第一章 第十話 対話編
CASE 量 の裏に 質
マナミ 同じ点を見る、量って、どういうものなの?
マサシ 量とは、多いか寡いかを、捕えることなのさ。
マナミ 量を集め、和を認めるには、どうすればいい?
マサシ 同じ次元に、横から捕えれば、量が見えるよ。
マナミ 違う点を見る、質って、どういうものなの?
マサシ 質とは、善いか悪いかを、捉えることなのさ。
マナミ 質を比べ、差を認めるには、どうすればいい?
マサシ 違う次元に、上から捉えれば、質が見えるよ。
マナミ 具体的に、教えて欲しいの、どういうこと?
マサシ 例えば、人の大きさぐらいの、白色の球が、
沢山ある、部屋に入ったら、どう見えるかな?
マナミ 白色の球が、沢山あるなって、見えると思う。
マサシ 少しずつ、赤色の球が増えたら、どう見える?
マナミ 赤色の球が、増えてきたって、見えると思う。
マサシ 総べてが、赤色の球に為ったら、どう見える?
マナミ 赤色の球が、沢山あるなって、見えると思う。
マサシ この様を、上空から見ていたら、どう見える?
マナミ 部屋が、白から赤に変ったなって、思うの。
マサシ ほら、君も、上から見てごらん、君も変った。
マナミ ……………………!!
CASE 量 の先に 質
サトミ ねぇねぇ、量より質と、言われているけど、
やはり、量より質を、求めた方が良いのかな?
メグミ 自ずから、量を望むと、質に臨んでいくのよ。
サトミ 量と質の違いは、見方の違いに、過ぎないの?
メグミ うん、そうよ、ある程度は、量が無かったら、
比較できないし、質の違いが、分からないよ。
サトミ それなら、どういうとき、量が質に変わるの?
メグミ 人には、大きさが違う、見えない器があって、
その器に、充ち溢れたら、量が質に変わるよ。
サトミ じゃあ、器を充すまで、中の量を捕えるけど、
そのうち、器が満ちたら、外の質を捉えるの?
メグミ そうよ、少ないと、量の変化が捕え易いけど、
逆に、増えてくると、量の変化が捉え難いよ。
サトミ 一と二の違いは、比較的、分かり易いけど、
百と百一の違いは、比較的、解かり難いのね。
メグミ うん、その微妙な違いは、どうでも良くなり、
次第に、器として捉え、他と比べ始めるのよ。
サトミ なるほど、そういう事ね、良く分かったよ。
メグミ うふっ、こういう事よ、良く解かったでしょ。
サトミ ……………………!!
CASE 量 という 質
マナミ 何度も繰り返して、臨界点を通り過ぎると、
量的な変化が、質的な変化に、移り変わるの。
サトシ う~ん、良く解からない、どういうことかな?
マナミ 量は、空間的な多少として、認識するけど、
質では、時間的な前後として、認識するから。
サトシ ある程度、空間の認識が、集らないかぎり、
前後の変化、時間の認識に、変らないのかな?
マナミ ある程度、和を認めると、差を求め始めるの。
サトシ 例えば、白球と赤球があり、赤球を増やすと?
マナミ 赤球から捕えると、赤球の数が殖えている。
全体から捉らえると、全体の色が変っている。
サトシ 例えば、サルが暮らす島で、サルが増えると?
マナミ サルから捕えると、サルの数が殖えている。
全体から捉らえると、島の様子が変っている。
サトシ なるほどね、具体例を、幾つか見て来たら、
何となく、そんな感じが、湧き上って来たよ。
マナミ そのなのよ、その感じこそ、量的な変化なの。
サトシ でも、これは、みんなも、そう感じるのかな?
マナミ そうなのよ、その観じこそ、質的な変化なの。
サトシ ……………………!!
CASE 質のない量 と 量のない質
サトミ 量と質、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 和を見とめる、量って、どういうものかな?
メグミ 量とは、同じ物を集めて、一致を見ることよ。
サトミ 差を見とめる、質って、どういうものかな?
メグミ 質とは、違う者を比べて、差異を見ることよ。
サトミ 量を重んじて、質を軽んじると、どうなるの?
メグミ 質のない量なんて、直ぐに飽きるだけなのよ。
サトミ じゃ、抑えが効かず、短く為ってしまうの?
メグミ そうよ、空間を求めて、時間に続かないのよ。
サトミ 質を重んじて、量を軽んじると、どうなるの?
メグミ 量のない質なんて、良くに塗れるだけなのよ。
サトミ じゃ、違いに拘って、狭く為ってしまうの?
メグミ そうよ、時間で育んで、空間に広がらないよ。
サトミ 量だけは、多くなるほど、飽きてしまうし、
質ばかりは、高くなるほど、拘ってしまうの?
メグミ そうよ、量と質、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、量を介しながら、質を解していくの?
メグミ うふっ、量を感じながら、質を観じていくの。
サトミ ……………………!!