物語編
第一章 第十一話 物語編
第一章 定立 と 反立
第十一話 表が成り立つ と 裏が成り立つ
何に対しても、意味を認めようとするのは良い。
しかし、すでに、私は、妄想に嵌ってはいないか。
こうして、考える時点で、老師の術中ではないのか。
我が意識から、急速に周囲の喧騒が退いて行く。
自分以外の者が、静まり返った孤独な世界の先に、
まだ、会ったこともない、老師の姿が朧げに見える。
老師よ、あなたは、一体全体、何をしたいのか。
何故、斯くなる物を創って、斯くも人を苛むのか。
彼方のせいで、世界の人々は、阿鼻叫喚ではないか。
世の人が、感情を昂ぶらせて、訴えているよう、
まさか、私利私欲で動いている、訳ではあるまい。
もし、戯れを働いているなら、私は彼らの側に付く。
すべてを越える、お前には、戯れかもしれんが、
下々の者には、代え難き物と、汝は心得ているか。
もし、汝が、彼らを滅ぼすなら、我が汝を滅ぼさん。
我は、叛逆の使徒にして、神児を天に還すもの。
荒ぶる神の化身にして、闇黒の時代の神の代理人。
最後の仕組を司りし、地獄の釜の底を独り塞ぐもの。