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物語編

第一章 第十四話 問答編

マサシ 低次(テイジ)とは、どういうものですか?

 

アキラ 低次とは、意味が現れる、次元であり、
    オブジェクト・レベルとも呼ばれるもの。
    『嘘吐き』が「自分は嘘吐き」と言う場合、
    「事実」と捉えると、「低次」を捕えている。

 

    ただし、意味を、意識として捉えると、
    その瞬間、低次は、高次になってしまう。
    つまり、低次は、現在に表われるしかなく、
    現在が過ぎ去ったとき、意味は意識に変わる。

 

マサシ 高次(コウジ)とは、どういうものですか?

 

アキラ 高次とは、意識が隠れる、次元であり、
    メタ・レベルとも、呼ばれるものである。
    『嘘吐き』が「自分は嘘吐き」と言う場合、
    『虚偽』と捉えると、『高次』を捕えている。

 

    ただし、意識を、意味として捉えると、
    その瞬間、高次は、低次になってしまう。
    つまり、高次は、無意識に隠れるしかなく、
    無意識を意識化すると、意識は意味に変わる。

 


 

メグミ 非Aの中に、BやCは含まれないのですか?

 

マコト 非Aの中に、BやCは含まれていません。
    Aを意識するから、非Aが生じるのであり、
    Aや非Aが生じても、Bは生じてはいません。

 

メグミ 何故、非Aに、BやCを含めないのですか?

 

マコト 非Aの中に、Bが有ると意識した瞬間に、
    「Aと非A」と、全く異なる領域において、
    「Bと非B」の対立が、別に生まれています。

 

    それゆえ、厳密に言えば、非Aの中のBは、
    「(Aと)非A」かつ「B(と非B)」です。

 

    現時点において、意識していないものを、
    意識することを前提に、含めてしまうのは、
    オブジェクト化の問題を、孕んでしまいます。

 

メグミ オブジェクト化の問題とは、何でしょうか?

 

マコト たとえば、「嘘吐きパラドックス」とは、
    メタレベルを、オブジェクトレベルで扱い、
    その結果、パラドックスが、生じるものです。

 

    無限を「アレフ」と記号化した途端に、
    もはや、「無限」という名の有限であり、
    それを有限のものとして、処理をするなら、
    様々なパラドックスを、生むことになります。

 

    例えば、過去を意識した、その瞬間に、
    もはや、「過去」という名の現在であり、
    それを過去のものとして、処理をするなら、
    様々なパラドックスを、生むことになります。

 

    即ち、メタを意識すると、その瞬間に、
    「メタ」という「オブジェクト」になり、
    メタのまま扱わないことによる、諸問題を、
    ここでは、オブジェクト化の問題と呼びます。

 


 

クサツ 先日、知人の愚痴を、聞かされました。
    沈黙し、見守っていた、だけなのですが、
    自ずから、過ちに気づき、改めていました。
    近頃は、このようなことが、頻繁に起ります。

 

マコト あなたの様に、真理が根づいて来ると、
    何を為す事なく、周囲を神聖に変えます。
    即ち、周りの場が、在るべき姿にまで戻り、
    思っている事を、行っている様に、なります。

 

クサツ それは、対話編のオチに見られる状態ですか?

 

マコト 言っていることを、自らが行っている。
    まさに、このような、状態が現われます。
    このとき、相手は、自らの言動を振り返り、
    自らが、嵌っている、カルマを自覚できます。

 

    無言を以って、人々に真理に説くのは、
    真理が、根づいてこそ、可能となります。
    借りて来ただけでは、根本的に出来ません。
    妙なる境地です、引き続き、弛まない精進を。

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