第一章 第十四話 対話編
CASE 低次 の裏に 高次
マサシ 「『原因ならば結果』という条件」なのさ。
マナミ 因果を司る、低次って、どういうものなの?
マサシ 低次とは、空間に現れる、『因果』の次元さ。
マナミ 条件を司る、高次って、どういうものなの?
マサシ 高次とは、時間に隠れる、「条件」の次元さ。
マナミ 例えば、机を見た場合って、どうなるのかな?
マサシ 机の部分が、結果として、空間に現れると、
非机の部分が、原因として、空間に隠される。
マナミ 『非机ならば机』として、意味が現れるのね。
マサシ ある瞬間、机の意味が、空間に現れてくると、
その途端に、机の意識が、時間に隠れていく。
マナミ ある瞬間、机の実感が、意味に表れてくると、
その途端に、机の実感が、意識に湧いてくる。
マサシ 「意味という意識」として、意識が作られる。
以上を纏めて、「『低次』という高次」だよ。
マナミ なるほど、意味が解って、理解が生じたの。
マサシ それは、まさしく、『因果』を解したからさ。
マナミ なるほど、意識が覚めて、実感が湧いたの。
マサシ それは、まさしく、「条件」を介したからさ。
マナミ ……………………!!
CASE 低次 の先に 高次
サトミ 因果を司る、低次って、どういうものかな?
メグミ 低次とは、意味を解して、観じるものなのよ。
サトミ 空間として、現れる因果は、意味で観じるの?
メグミ そうだよ、意味を望んで、観じるしかないよ。
サトミ 意味を、感じようとすると、どうなるのかな?
メグミ その瞬間、意識で感じて、高次に変わるのよ。
サトミ 条件を司る、高次って、どういうものかな?
メグミ 高次とは、意識を介して、感じるものなのよ。
サトミ 時間として、隠れる条件は、意識で感じるの?
メグミ そうだよ、意識に臨んで、感じるしかないよ。
サトミ 意識を、観じようとすると、どうなるのかな?
メグミ その途端、意味を観じて、低次に変わるのよ。
サトミ つまり、意味を観じるのが、低次の空間で、
更に、意識で感じるのが、高次の時間なのね?
メグミ そうよ、低次の意味として、受け容れると、
その瞬間、高次の意識になり、積み重なるの。
サトミ そっか、意味する因果は、観じるしかなく、
その途端、意識する実感は、感じるしかない。
メグミ うふっ、しっかり解して、しっかり介せた?
サトミ ……………………!!
CASE 低次 という 高次
サトミ オブジェクト、低次は、どういうものかな?
メグミ 低次とは、意味が現れる、次元のことなのよ。
サトミ じゃあ、メタ、高次は、どういうものかな?
メグミ 高次とは、意識が隠れる、次元のことなのよ。
サトミ う~ん、良く解らない、どういうことかな?
メグミ たとえば、私達って、キャラとして話すけど、
その意味を支えている、意識が隠れているの。
サトミ じゃ、意識が支えないと、意味は現れないの?
メグミ そうよ、この場合だと、単なる文字になるよ。
サトミ じゃ、あたし達を支える、意識って誰なの?
メグミ ここの、意味の次元に、現れて来ないけど、
いま、それは私って、考えた意識があるのよ。
サトミ 誰なの、隠れてないで、出て来なさいよね。
メグミ もし、出て来てしまうと、新しい意味になる。
ここに、三人目のキャラが、現れるだけだよ。
サトミ 何よ、その人だけ、特別なの、何か嫌な感じ。
メグミ ううん、その意識も、誰かに支えられている。
サトミ じゃ、意識が支えない、意味なんて無いのね。
メグミ うふっ、解ったかな、三人目に言ってますよ。
サトミ ……………………!!
CASE 高次 という 低次
アツシ オブジェクトは低次、メタは高次のことだ。
低次が生まれるときに、高次が埋まれている。
サトミ メタ、メタのメタ、メタのメタのメタって、
高次を突き詰めると、最終的に、どうなるの?
アツシ メタのメタというものは、存在しないんだ。
メタは、言及した瞬間、オブジェクトになる。
サトミ 「メタ」のメタって、「メタ」と言及すると、
その「メタ」は、オブジェクトに過ぎないの?
アツシ そうだ、メタという、オブジェクトに変わる。
サトミ やだ、良く解からない、どういうことなの?
アツシ 失恋を、詩で表現すると、失恋と言えるか?
サトミ 違うわよ、失恋を表現した、詩に過ぎないわ。
アツシ 無名という、名の商品は、無名と言えるか?
サトミ 違うわよ、無名という、品名が付いているわ。
アツシ そうだ、良く解かったか、こんなところだな。
サトミ そんなの、比喩を使かって、実証しただけ。
もっと、論理を遣かって、論証して欲しいの。
アツシ いや、メタを論証するのは、不可能なんだ。
まさに、このようにして、実証するしかない。
サトミ ……………………!!
CASE 高次なき低次 と 低次なき高次
サトミ 低次と高次、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 空間を司る、低次って、どういうものかな?
メグミ 低次とは、意味を持って、因果を解すものよ。
サトミ 時間を司る、高次って、どういうものかな?
メグミ 高次とは、意識を以って、実感を介すものよ。
サトミ 低次を望み、高次に臨まないと、どうなるの?
メグミ 高次なき低次なんて、無意味に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、時間が無いなら、実感が湧かないの?
メグミ そうよ、実感が無いなら、意味も無くなるよ。
サトミ 高次を望み、低次に臨まないと、どうなるの?
メグミ 低次なき高次なんて、無意識に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、空間が無いなら、因果が現れないの?
メグミ そうよ、因果が無いなら、意識も無くなるよ。
サトミ 低次だけでは、感じなくて、観じなくなり、
高次ばかりでは、観じなくて、感じなくなる。
メグミ うん、低次と高次、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、高次を介して、低次を解していくの?
メグミ うん、高次を感じて、低次を観じていくのよ。
サトミ ……………………!!
CASE 嘘 吐 き 逆 説
サトシ 嘘吐きパラドックスって、どういうものかな?
マナミ 『嘘吐き』が「自分は嘘吐き」と言った場合、
虚偽か、真実か、定まらなくなる、逆説なの。
サトシ 『嘘吐き』が言うことは、虚偽のはずだから、
「嘘吐き」じゃなくて、『正直者』になるね。
マナミ 『正直者』が言うことは、真実のはずだから、
「嘘吐き」らしいから、『嘘吐き』になるの。
サトシ なるほど、これを繰り返すから、定まらない。
う~ん、これって、何がおかしかったのかな?
マナミ 「オブジェクト・レベル」と『メタ・レベル』
「意味レベル」と『意識レベル』の混同なの。
サトシ たとえ、『嘘吐き』が、言っていたとしても、
今回の発言は、真実かもしれない、ってこと?
マナミ 『高次』は「低次」に、当て嵌められないの。
サトシ どうして、『意識』と「意味」を分けるの?
マナミ 『意識』を「意味」に、当て嵌めた瞬間に、
「意識という意味」って、記号化しているの。
サトシ そっか、意識の取り扱いは、要注意なんだね。
マナミ 取り扱える意識は、既に、意味なんだけどね。
サトシ ……………………!!
CASE 低次 の先に 高次
マナミ 同じ因果を、繰り返し見ると、どうなるの?
マサシ 因果の関係が、当然になり、実感が強くなる。
マナミ 同じ因果を、繰り返し過ぎると、どうなるの?
マサシ 因果の関係が、自然になり、実感が弱くなる。
マナミ 初めは強くなるけれど、後から弱くなるのね。
マサシ そうさ、実感が飽和して、飽きて来るのさ。
マナミ どうして、実感は、増えたり減ったりするの?
マサシ 繰り返すと、見ている対象が、変わるからさ。
マナミ 実感が、足りていないと、何を見ているの?
マサシ 違うものを繰り抜いて、意味を観じるわけさ。
マナミ 実感が、満ちてしまうと、何を見ているの?
マサシ 同じことを繰り返した、意識を感じるわけさ。
マナミ 最初は、空間に現れた、意味を捉えるけど、
最終的に、時間に隠れた、意識を捕らえるの?
マサシ そうさ、意味を観じるほど、意識を感じる。
そのとき、高次の意識に、移行する道がある。
マナミ 低次の意味を、一つずつ実感で積み上げて、
高次の意識から、一つの実感に纏め上げるの?
マサシ うん、ほら、こうすれば、この話も纏まるよ。
マナミ ……………………!!