物語編
第一章 第十八話 物語編
第一章 和 と 差
第十八話 違いを合せる と 違いを比べる
『君の心は無だ、どちらに転ぶか、分からない。
このまま、無のままで、諦めながら、生きるのか。
この先、何かになり、見たこともない、器になるか。』
『今の私が、君を裁くことは、止めた方が良い。
入りたければ、君は入れば良い、私は邪魔しない。
ここの主をして、如何に染まるか、私は興味がある。』
『君には、私から、もう一つの選択を与えよう。
入るか、入らないか、それ以外の道も有って良い。
もし、興味があるなら、その道も考えては、どうか。』
『いまから、数刻後、この地に我が君が訪れる。
我が君が、先頭に立ち、地を浄めることになった。
慧眼の誉れ、我が主君は、この案件を重く見ている。』
『おそらく、魔窟の主は、捕まえられるだろう。
それから、裁判に掛けられ、死刑に処せられよう。
主の面会を、求めるなら、これが最後の機会になる。』
『一方、ここで、我が君を私と共に待つならば、
私は、君のことを、我が君に推挙しようと考える。
心が無の者など、なかなか居ない、薦めるに値する。』