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物語編

第一章 第十八話 対話編

CASE 和 の裏に 差

 

マナミ 違いを分ける、差って、どういうものなの?
マサシ 差とは、違うものを並べ、相と捕えることさ。
マナミ 相として、意味を比べると、どうなるのかな?
マサシ 意味を連ね、意識が浅くなり、幻想に到るよ。
マナミ 移り変る、表層の意識って、どんなものなの?
マサシ 我が強くて、器が小さい、差を観じる意識さ。
マナミ 表層では、自と他が別れて、違って見えるの?
マサシ 全ての者が、他と為って、現われて来るのさ。
マナミ 違いを合わす、和って、どういうものなの?
マサシ 和とは、違うものを重ね、層と捉えることさ。
マナミ 層として、意味を合せると、どうなるのかな?
マサシ 意味を重ね、意識が深くなり、真相に至るよ。
マナミ 辿り着く、深層の意識って、どんなものなの?
マサシ 我が弱くて、器が大きい、和を感じる意識さ。
マナミ 深層では、自と他が合さり、同じに見えるの?
マサシ 全ての者が、和と成って、表われて来るのさ。
マナミ なるほど、違って居ながら、同じに見える。
    前から、そう見えていた、そんな気がするの。
マサシ ほら、それが真相に気づく、ということだよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 和 の先に 差

 

サトミ 和を重んじる、和の精神は、どういうもの?
メグミ 陰や陽とは、回り続ける輪と、捉えるものよ。
サトミ 因や果は、変動的なものだって、考えるの?
メグミ そうよ、陰は陽となり、陽は陰となるから、
    それらに、絶対的な差は、存在しないと見る。
サトミ 円形だから、巡るほど、良くなると考えるの?
メグミ 円を作るには、どんな部分も、欠かせない。
    巡らせるために、すべて平等に、重んじるよ。
サトミ 差を重んじる、差の精神は、どういうもの?
メグミ 陰や陽とは、縛り付ける鎖と、捕えるものよ。
サトミ 因や果は、固定的なものだって、考えるの?
メグミ そうよ、陰は陰のまま、陽は陽のままだから、
    それらに、決定的な差が、存在すると見るの。
サトミ 角形だから、尖るほど、良くなると考えるの?
メグミ 角を造るには、上を減らして、下を増やす。
    尖らせるために、上に偏らせて、重んじるよ。
サトミ 和は、変りが効くけど、代りは利かないし、
    差では、代りが利くけど、変りは効かないの?
メグミ この、変りは聞くけど、代わりは聞かないよ。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 和 という 差

 

アツシ 現代の社会は、ピラミッド型の世の中だな。
    少数の勝ち組を、多数の負け組が支えている。
サトシ 差を楽しんで、差を重んじる、社会なんだね。
    どうして、こんな世の中に、なっちゃったの?
アツシ 自分と他人を比較して、位置を確めるからだ。
    そんなことする限り、永遠に負け組なのにな。
サトシ そっか、負け組が、勝ち組に成ろうとすると、
    その瞬間、相手の土俵に、乗ってしまうのか。
アツシ そうだ、負け組は、差の精神を抜け出して、
    和の精神を取り戻さないと、負け組のままだ。
サトシ じゃ、どうしたら、円型の世の中になるかな?
アツシ 代わりが利くと、思われている負け組こそが、
    代りが利かないと、勝ち組に想わせることだ。
サトシ そっか、負け組が居ないと、勝ち組も無い。
    もう、底辺を支えないで、抜け出すことだね。
アツシ そうだ、無理に戦えば、相手の土俵の上だ。
    勝ち組が、勝ちたいなら、負けておくことだ。
サトシ う~ん、でも、それは、負け犬根性じゃない?
アツシ ほら、相手の土俵に、もう、乗り込んでいる。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 差 という 和

 

サトミ 浅い層に在る、差って、どういうものかな?
メグミ 差とは、他と別れている、浅い意識のことよ。
サトミ 深い層に在る、和って、どういうものかな?
メグミ 和とは、他と繋っている、深い意識のことよ。
サトミ 深い意識では、あたし達は、繋がっているの?
メグミ うん、最も深い所は、全て繋がっているのよ。
サトミ あたし、好きな相手と、繋がるのは嬉しいな。
メグミ うん、すると、意識の焦点が、深くなるのよ。
サトミ でもね、嫌いな相手と、繋がるのは嫌なのよ。
メグミ うん、すると、意識の焦点が、浅くなるのよ。
サトミ 自分が、認めないと、無の意識に捨てるか、
    自分とは、見とめない、他の意識に分けるの?
メグミ そうよ、嫌いだからって、逃げたらダメなの。
サトミ やだ、そんな考え方するの、あたし嫌だな。
メグミ じゃあ、他者の考えって、切り離して良いよ。
サトミ えっ、そんな考え方するの、あたし嫌だな。
メグミ じゃあ、そもそも、聞かなかったことにする?
サトミ えっ、それも嫌だな、ちゃんと認めてみるね。
メグミ うふっ、そうして、どんな人とも繋がってね。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 和 と 我 と 差

 

サトミ 違いを合せる、和って、どういうものなの?
サトシ 和とは、違う意味を、同じ意識にすることさ。
サトミ 同じ事に、捕われ過ぎると、どうなるのかな?
サトシ 同じ意識に、囚われ過ぎると、我になるんだ。
サトミ 違いを分ける、差って、どういうものなの?
サトシ 差とは、違う意味を、違う意識にすることさ。
サトミ 違う事に、捕われ過ぎると、どうなるのかな?
サトシ 違う意識に、囚われ過ぎると、他になるんだ。
サトミ それなら、和に捕われても、差に囚われても、
    我が強くなるから、自と他の対立が起こるの?
サトシ うん、反対に、和でも差でも、拘らなければ、
    我が弱くなるから、自と他の対立が起きない。
サトミ ふ~ん、あたしの考えと、全く違うんだけど。
サトシ じゃ、受け容れる気なんか、全く無いんだね。
サトミ そうよ、あたしは、差を重んじているからね。
サトシ なるほど、君は、それで良いんじゃないかな。
サトミ なによ、あんたは、どっちでも良いってわけ?
サトシ そうだよ、僕は、和を重んじているからね。
    君は、拘れば良いよ、僕は、放って置いてさ。
サトミ ……………………

 


 

CASE 差のない和 と 和のない差

 

サトミ 和と差、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 差を克する、和の心は、どういうものかな?
メグミ 和の心は、違う物を、同じ者に見ることだよ。
サトミ 和を剋する、差の心は、どういうものかな?
メグミ 差の心は、違う物を、違う者に見ることだよ。
サトミ 和を重んじて、差を軽んじると、どうなるの?
メグミ 差のない和なんて、単なる我に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、差が無いから、和が過ぎてしまうの?
メグミ そうよ、和に捕われて、我が生じてしまうよ。
サトミ 差を重んじて、和を軽んじると、どうなるの?
メグミ 和のない差なんて、単なる他に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、和が無いから、差が過ぎてしまうの?
メグミ そうよ、差に囚われて、他を招じてしまうよ。
サトミ 和だけでは、捕らわれて、我に変りやすく、
    差ばかりでは、囚らわれて、他に換りやすい?
メグミ そうよ、和と差、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、和を介しながら、差を解していくの?
メグミ うふっ、和を感じながら、差を観じていくの。
サトミ ……………………!!

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