第一章 第二一話 対話編
CASE 絶対 の裏に 相対
マナミ 表裏が無い、絶対って、どういうものなの?
マサシ 絶対とは、陰陽を介して、片方を感じるのさ。
マナミ 表が有って、裏は無いって、感じているの?
マサシ そうだよ、表しか見ないから、絶対を感じる。
マナミ 表に囚われ、裏を忘れると、どうなるのかな?
マサシ 絶対性で、実感に塗れて、実在を覚えるのさ。
マナミ 表裏が有る、相対って、どういうものなの?
マサシ 相対とは、陰陽を解して、両方を観じるのさ。
マナミ 表が有って、裏も有るって、観じているの?
マサシ そうだよ、裏まで認めるから、相対を観じる。
マナミ 表も捕えて、裏も捉えると、どうなるのかな?
マサシ 相対性で、実感を越えて、達観が生じるのさ。
マナミ つまり、表だけ見れば、絶対性を感じるけど、
それから、裏まで見れば、相対性を観じるの?
マサシ 確かに、裏まで見れば、相対性を観じるけど、
そのとき、表を忘れると、絶対性を感じるよ。
マナミ そっか、裏が正しかったと、改めるだけね。
なるほど、こっちの方が、正しかったみたい。
マサシ ほらね、相対性を観じずに、絶対性を感じる。
マナミ ……………………
CASE 絶対 の先に 相対
メグミ 相対性は、実感が与える、二元性のことで、
絶対性とは、実感が与える、一元性のことよ。
サトミ 相対性が、実感を与えるのは、どうしてかな?
メグミ 陽だけでも、陰だけでも、意味は生まれない。
陰陽が生まれてこそ、意味が産まれるからよ。
サトミ 実感が、絶対性を与えるのは、どうしてかな?
メグミ 陽に囚われるときに、陰を忘れているからよ。
二元を忘れるからこそ、一元が産まれるのよ。
サトミ でも、この一元って、一時的なものだよね?
忘れている裏側を、覗いた途端に崩れちゃう。
メグミ そうよ、相対を究めると、絶対に極まるの。
その一方、絶対を極めると、相対に窮まるよ。
サトミ これを、繰り返したって、意味が無いよね。
相対と絶対、この相対を越える、絶対は無い?
メグミ 実はね、二元を否定した一元、ではなくて、
二元を肯定した一元、というものが、有るよ。
サトミ 陰と陽、どちらか、否定した一元ではなく、
陰と陽の、どちらも、肯定する一元ってこと?
メグミ そうだけど、前者も肯定する、後者なのよ。
サトミ ……………………!!
CASE 絶対 という 相対
マサシ 表が生まれるとき、裏が埋まれているのさ。
裏のない表もないし、表のない裏もないのさ。
サトシ この世界は、相対ばかりで、絶対はないの?
マサシ 無いんだ、表しか無いと、絶対に見えるのは、
表に囚われて、裏を忘れている、だけなのさ。
サトシ じゃ、裏を忘れていると、絶対視するけど、
いずれ、裏が見えてくると、相対化されるの?
マサシ そうだよ、この法則だけ、絶対的なものだよ。
サトシ あっと、ほら、ここに、絶対的なものが有る。
マサシ いや、この世界には、絶対的なものは無いよ。
サトシ ううん、裏が見えると、相対化されてしまう。
これだけ、絶対的だって、今、言っていたよ。
マサシ あ~あ、そのことに、気づいてしまったのか。
気づいたら、どうなるのか、解っているよね?
サトシ うん、裏を忘れていると、絶対視するけど、
いずれ、裏が見えてくると、相対化されるよ。
マサシ そうだよ、この法則だけ、絶対的なものだよ。
サトシ あっと、ほら、ここに、絶対的なものが有る。
マサシ いや、まだ、続けるかい、永遠に続くけどね。
サトシ ……………………
CASE 相対なき絶対 と 絶対なき相対
サトミ 絶対と相対、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 関係が無い、絶対って、どういうものかな?
メグミ 絶対とは、表裏に於いて、表を感じることよ。
サトミ 関係が有る、相対って、どういうものかな?
メグミ 相対とは、表裏に於いて、裏を観じることよ。
サトミ 絶対を望み、相対に臨まないと、どうなるの?
メグミ 相対なき絶対なんて、唯の当然に過ぎないよ。
サトミ じゃ、感じるばかりで、観じられないのかな?
メグミ そうよ、囚われてしまい、当り前になるのよ。
サトミ 相対を望み、絶対に臨まないと、どうなるの?
メグミ 絶対なき相対なんて、只の自然に過ぎないよ。
サトミ じゃ、観じるばかりで、感じられないのかな?
メグミ そうよ、透かしてしまい、通り過ぎるだけよ。
サトミ 絶対だけは、実感するけど、達観できない。
相対ばかりは、達観するけど、実感できない。
メグミ うん、相対と絶対、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、実感を望みながら、達観に臨むのね。
メグミ うん、絶対を介しながら、相対を解するのよ。
サトミ ……………………!!